もし「もう明日から来なくていいよ」と突然言われたら、あなたはどう思いますか?
「まだ試用期間が終わっていないから仕方ないか」
「正社員じゃないから、簡単に解雇されてしまうのは諦めるしかない」
そんな風に、「試用期間中だから自分の立場は弱い。だから解雇は自分が能力不足だったせい」と思うかもしれません。
確かに、試用期間は企業があなたの適性や会社との相性を最終チェックしている段階で、文字通りとれば「お試し期間」かもしれません。
ですが、解雇通告されたなら、すんなり諦める前にちょっと待ってください!
実は試用期間中でも本採用後の正社員と同様に、正当な理由がなければ解雇することは会社にはできないんです。
多くの人が「試用期間はお試し期間」と思っているその知識のなさを、あなたも利用されて不利益を被っている可能性があります。
もちろん、場合によっては正当に解雇することもできます。
とはいえ、「試用期間に急に解雇された」という場合の多くは、不当なものがほとんどなのです。
この記事では、試用期間中の解雇について正当か不当か?が理解でき、もし自分が試用期間中に解雇されたらどうすればいいのかまでわかるようになります。
突然の解雇や本採用見送り・拒否など、試用期間中にクビにされた場合、自分がどうそれを理解し受け止め、どう対処していけばいいのかわかるようになります。
そしてさらには、次の転職に向けてどうすればいいか、転職先ではどうすればいいのか、解雇をプラスに転換する知識も身につきます。
解雇が正当な理由だった場合は、今後自分が社会で働く上で自分に大切なことは何かが見えてきます。
不当な場合は今すぐすべきことは何かわかるので、結果的に人生を充実させる働き方ができるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
試用期間の定義
試用期間とは、面接だけでは判断できない会社との相性や適性を判断するために会社が設けている審査期間のようなものです。
とはいえ、雇用契約を結ぶ形になるので、単に「お試し」で雇われているのではありません。
契約を交わして雇用されているので、労務的な部分も正社員とほぼ同等の権利が与えられます。
一般的な試用期間の長さ
試用期間の長さは短くて1ヵ月、長くても半年が一般的です。
1年以上の試用期間は法律上認められていない為、どんなに引き延ばしても1年未満となります。
多くの企業では3ヵ月を試用期間として定めています。
本採用拒否が認められるケースは滅多にない
試用期間後は、滅多なことがない限り本採用されるようになっています。
しかしながら、レアケースとして、企業側の本採用拒否が正当に認められ、試用期間中や試用期間満了で解雇されることがあります。
次に正当な試用期間中の解雇の一例をご紹介しますので、自分に当てはまっていないか確認してみてください。
正当な試用期間中の解雇
正当な試用期間中の解雇には、「社内規則違反」「経歴詐称の判明」などが要因として挙げられます。
契約を交わして雇用されているので、当然ですが「何か思っていたのと違ったらから解雇で」なんで理由なき理由で解雇されることはありません。
ただし、試用期間中に解雇した理由として「能力不足だから」というのも、実はかなりシビアなラインがあり、企業はそう簡単に解雇できません。
能力不足を企業が正当な理由として提示するには、業務を全うする上で著しく他の社員に劣る十分な証拠を書面でまとめて提出する必要まであります。
例えば、事務員で書類作成などしなければならないのに、義務教育レベルの読み書きが一切できない、というレベルであり、それを裏付ける書面での証拠が出揃っている場合です。
もしそのような証拠もなく解雇されたならそれは不当な解雇といえます。
社内規則違反による解雇
社内規則違反はその会社ごとに設けられた規則によって異なります。
ですが試用期間でクビになる人の代表的な要因には、次のようなモラルに欠けた行動にあることがほとんどです。
- 飲酒した状態で出勤してくる。
- 無断で欠勤を繰り返したり遅刻を繰り返したりする。
- 社内で暴力的な行為を他社員へ行う。
- 会社の備品などを意図的に破壊するなど会社へ不利益を与える。
いずれも試用期間であるかどうかに関わらず、仮に正式採用された社員であっても解雇されるような事案ばかりであることがわかります。
社会人としても常軌を逸した愚かな行動です。
経歴詐称の判明による解雇
経歴詐称の判明のなかでも、解雇に繋がるような経歴詐称には次のようなものがあります。
- 国家資格や所定の資格なしには勤務できない職種であるにもかかわらず、資格を持っているように偽って働いていた。
これは無免許運転と同じように法律でも罰されるような反社会的行為ですから、解雇も当然といえます。
一方で、履歴書にこれまで働いていたすべての職場の経歴を記載していなかった、というのも厳密にいえば経歴詐称にはあたりますが、解雇になるほどの事案ではありません。
たとえ試用期間中であったとしても守られる立場
このように、雇用される側の人間は、たとえ試用期間中であったとしても社会でも守られる立場にあり、会社側も余程の理由がない限りは正当な理由で解雇することはできません。
もしあなたがここまで読んで「正当な理由で解雇されたな」と感じるなら、今後の社会人としての立ち振る舞いや、次の転職後にうまくやっていくためにも、一度自分を見直した方がいいでしょう。
試用期間中に解雇!?不当かどうか判断する方法
試用期間中に解雇を言い渡された時は、動揺するかもしれませんが、まずは不当な解雇ではないかチェックするようにしましょう。
試用期間であっても解雇されるときには会社都合に大きく影響を受けることはほぼありません。
あったとしたらそれは不当なケースです。
ちなみに、会社の倒産や業績悪化による解雇は、レアなケースではありますが、不当性以前の問題として扱われ、会社都合の解雇が認められるケースとなりますので注意しておきましょう。
解雇の正当性は試用開始から「14日」を境に異なる
注意したいのが、「試用期間中の急な解雇」です。これは、試用期間中の社員に対する不当な扱いとして近年社会問題視されています。
その会社に入社して14日経ったら、雇用の規則は試用期間中の社員でも正規社員でも同じものが適用されます。
試用期間中であっても、会社からの解雇通告は、解雇日の30日前までには行われなければいけないことが決められています。
また、30日前までに行われたとしても、正当性が無ければいけません。
解雇が正当であるのかを先にお伝えした正当な解雇に該当しないかチェックし、確認し、自分では正当なものかどうか確信が持てない時には、労働基準行政の相談窓口」に相談しましょう。
ちなみに、試用期間中に解雇され、裁判となった際の判例でも、「14日以上経過しての無通告解雇は企業側が悪」と裁かれていることがほとんどです。
もし急な解雇通告で「明日から来なくていいよ」と言われたら、「労働基準行政の相談窓口」に相談したり、支店であれば本社に相談したりして、泣き寝入りを防ぎましょう。
一方で試用期間から14日以内であれば、相手に事前予告することなく解雇することが可能となっています。
14日以内に解雇されるというのは余程会社が「これ以上勤めさせられない」と思うような事件やトラブルが起きない限りはないことです。
もし14日以内に解雇されてしまったら、どうあがこうにもあなたにはその職場には残ることはできませんので、なんとかならないかとあがくのはやめて次の職場を探す方が賢明です。
ここでもう一度、解雇に正当性があるかどうかをチェックシートにまとめてみましたので、再確認してください。
解雇に正当性があるかどうかが焦点となる
- 飲酒した状態で出勤してくる。
- 無断で欠勤を繰り返したり遅刻を繰り返したりする。
- 社内で暴力的な行為を他社員へ行う。
- 会社の備品などを意図的に破壊するなど会社へ不利益を与える。
- 国家資格や所定の資格なしには勤務できない職種であるにもかかわらず、資格を持っているように偽って働いていた。
- 経歴詐称が判明しこれ以上の業務従事が不可能である
1つでもチェックが入れば、正当な解雇である可能性が高いです。
逆に1つもチェックが入らないのなら、不当な解雇である可能性が高いので、しっかり確認しましょう。
知っておきたい解雇以外のトラブル
試用期間中は急な解雇以外にもトラブルに巻き込まれることが多くあります。
これは雇用される側が「試用期間ってどうせお試し期間でしょう?」と認識しているのと同じように、雇用側の会社にも知識が不足していることが往々にあるためです。
自分に対しての処遇が不当であるということに気付かないのは、知らないが故の損にもつながりますので、把握しておきましょう。
正当な理由なく本採用を拒否される
先にお伝えしたように、試用期間中であっても、勤務態度が悪かったり、社内規則を破るなどして、会社に不利益をもたらす存在であることが明白な場合は、正規社員同様の扱いで解雇されます。
しかしながら、試用期間は面接だけでは判断できない資質や会社との相性を確認するための期間ではありますが、問題も起こさず真摯に業務をこなしていたのに本採用を見送られることは不当なケースがほとんどです。
客観的な意見も聞いた上で、「不当な本採用見送り」に直面した場合は、「労働基準行政の相談窓口」に相談してください。
試用期間を延長される
試用期間の延長は、本来不当なケース以外でまず起こり得ないものであることも知っておきましょう。
試用期間は正社員転換できるかどうかを見定めるために設けられた期間であって、決して安い人件費で会社を回すための裏技に使われるものではありません。
また、試用期間中は社会保険や雇用保険に加入させてもらえないこともありますが、試用期間を延長され、さらに諸々の保険にも加入させてもらえないとなると、捨て駒のように使われている可能性が高くなります。
もし試用期間を過ぎたのに試用期間の延長を伝えられたら、理由を聞くか、会社との契約状況を確認しましょう。
契約状況は、試用期間で入社した際に会社から資料として必ず渡される書類の1つに含まれています。
また、試用期間を延長されさらに雇用保険にも入れてもらえないとなったら、一人で悩まず、直近の給与明細や出勤状況のわかる明細など持参して、「年金事務所」に相談してください。
試用期間中に解雇を通知された場合にはまずは自分がその会社に本当に居たいか冷静に判断
もしも解雇を通知されたら、まずは自分がそこにまだ居残って働きたいのか、もう見切りをつけて次の職場にトライしたいのかを考えてみましょう。
不当な解雇は「労働組合」に相談したり、「労働基準行政の相談窓口」に相談することができます。
試用期間中に不当解雇する職場はブラック企業の証拠。転職するほうが賢明
ただし、そのように試用期間中の社員を不当に解雇するような会社は、仮に正式採用されても様々な場面で「ブラック企業だ」と感じて苦労することが多くなると予想されます。
試用期間で解雇された時は、給料がどうなるのか不安になると思いますが、勤務した分だけの給与をもらう権利はちゃんとあります。
そればかりか、14日以上勤務したにもかかわらず事前に通告なく解雇した場合には、「解雇予告手当」を支払う義務も企業には課せられています。
今は仕事も売り手市場で、あなたの活躍できる職場は今の会社以外にもたくさんあります。
過酷で悪質な労働下で、解雇に食らいついて引き続き勤められるよう交渉をするよりは、その会社はすっぱり辞めて別のもっとホワイトな会社に転職する方が建設的といえます。
悪質な企業で踏ん張っても結局辞めることになってしまっては、年齢的にも精神的苦痛を加味しても、次の転職に不利になりますので、見限るのに早いに超したことはありません。
番外編
もし試用期間中に自分の方から「解雇されたい」と感じたり、「試用期間中にクビになりたい」と思ったら、適切な手順を踏んで退職するようにしましょう。
決して自暴自棄になって解雇されるような横柄な勤務態度はとらないことが大切です。
次の転職に繋げる為にも円満に退職することが重要だからです。
これは、試用期間中に解雇された場合の次の転職先に出す履歴書にも影響してきます。
懲戒解雇されたり懲戒解雇の次に厳しい諭旨解雇(ゆしかいこ)となったりした場合は、職歴の書き方も退職理由もどうあがいてもポジティブな転換は難しいです。
しかしながら、自分で退職願を書いて辞めた普通解雇であれば、「スキルアップの為」「もっと自分の力を発揮できる職場を求めて」など退職を自分の強みに変えるような理由に転換することが可能です。
試用期間中に退職したい場合は、『試用期間中に退職したい!円満即日退職で転職にも不利じゃない!?』の記事で詳しく手順などもご紹介していますのであわせてご確認ください。
試用期間も理由なき解雇はNG!不当な会社には見切りを!
試用期間中であっても、雇用契約を交わしている以上不当に解雇することが禁じられています。
しかしながら、正当な理由があるうえで試用期間開始から14日以内は通告なく解雇することができたり、勤務態度が著しく会社に損益をもたらすものだったりする場合は、解雇されることもあります。
どうしてもその会社で働き続けたい!という場合でなければ、解雇されたら粘って何とか撤回させようとするのは避け、転職する方がいいでしょう。
億が一にも解雇を撤回してもらえたとしても、一度自分に解雇を通告した会社で働くのは精神的にもつらいものがあります。
それよりももっとあなたにあった最高の職場があるはずです。
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この記事が試用期間中の解雇について知りたいと悩むあなたの役に立てば幸いです。